高齢者・慢性疾患


【お名前】Yさん(仮名)
【年 齢】76歳
【疾患名】
2型糖尿病、糖尿病性腎症、軽度認知症
【要介護認定】要介護1


訪問看護介入までの経緯

Yさんは20年来の糖尿病を抱え、近年ではインスリン自己注射が必要な状態でした。
しかし、加齢による物忘れの進行により、注射の打ち忘れが増え血糖コントロール不良が目立つようになり、低血糖発作を起こして救急搬送されたことがきっかけで、主治医から訪問看護の導入が提案され、ましろ訪問看護ステーションが介入することになりました。

看護師からのアセスメント

初回訪問時、注射準備や手技には概ね問題がないものの、打ち忘れや時間のバラつきが頻発しており、生活リズムの乱れが血糖変動を招いていると判断しました。
ご本人には軽度の認知機能低下があり、服薬・血糖測定の一貫性が乏しい状況でした。また、食事の内容も自己判断での制限が不十分であり、栄養面からのアプローチも必要とされました。

提供したケア/リハビリ

訪問看護では週3回のインスリン注射確認と血糖値測定、症状の観察を実施。服薬カレンダーとタイマーを活用し、日常の注射忘れを予防しました。
必要に応じて主治医や薬剤師と連携し、薬剤調整もスムーズに行えるよう支援。また医療機関の管理栄養士と協働で、ご家族への食事指導を行い、過剰摂取や偏食の改善にも取り組みました。

訪問看護介入の結果としてのアウトカム

インスリン注射を一定の時間に打てるようになったことで、血糖値の乱高下が徐々に改善されました。ご家族のサポートもより的確になり、夜間の低血糖リスクも大幅に低下。
本人も「体が軽くなった」と感じるようになり、普段の生活で前向きな姿勢が少しずつ見られるようになりました。以後、救急搬送は一度もありません。

介入した看護師からのコメント

「Yさんは“病気とうまく付き合いたい”という意欲を持っていらっしゃいました。ご本人だけでなく、ご家族の協力体制がとても素晴らしく、血糖コントロールの安定に繋がったと思います。糖尿病は自己管理が要となる疾患なので、訪問看護による定期的なチェックとフィードバックが効果的に機能した良い事例でした。」

※本記事でご紹介しているケースは、過去に寄せられたご相談をもとに、個人情報に配慮し一部内容を改変のうえ掲載しています。
※本サイトの文章、画像の全部または一部を、事前の許可なく複製、転用、改変、配布、公衆送信、転載等することはご遠慮ください。

関連記事

  1. 気持ちに寄り添いつつ、教育的な関わりで家族の安心を支援する訪問看護

    気持ちに寄り添いつつ、教育的な関わりで家族の安心を支援する訪問看護

    気持ちに寄り添いつつ、教育的な関わりで家族の安心を支援する訪問看護
  2. 褥瘡予防と在宅処置を実践する訪問看護

    褥瘡予防と在宅処置を実践する訪問看護

    褥瘡予防と在宅処置を実践する訪問看護
  3. 重症心身障害児とその母親の暮らしを支える看護

    重症心身障害児とその母親の暮らしを支える看護

    重症心身障害児とその母親の暮らしを支える看護
  4. がん末期の痛みや不安に対し、ご家族と一緒に向き合う訪問看護

    がん末期の痛みや不安に対し、ご家族と一緒に向き合う訪問看護

    がん末期の痛みや不安に対し、ご家族と一緒に向き合う訪問看護
  5. ASD児の感覚特性と安心の支援体制

    ASD児の感覚特性と安心の支援体制

    ASD児の感覚特性と安心の支援体制
  6. 認知症の方の暮らしを支える訪問看護

    認知症の方の暮らしを支える訪問看護

    認知症の方の暮らしを支える訪問看護
  7. 尿カテーテル管理で感染予防と安心を支援

    尿カテーテル管理で感染予防と安心を支援

    尿カテーテル管理で感染予防と安心を支援
  8. 心不全と向き合う在宅ケアの実際

    心不全と向き合う在宅ケアの実際

    心不全と向き合う在宅ケアの実際
  9. 安心して暮らせる在宅生活を支えて

    安心して暮らせる在宅生活を支えて

    安心して暮らせる在宅生活を支えて
PAGE TOP