認知症


【お名前】Oさん(仮名)
【年 齢】86歳
【疾患名】レビー小体型認知症
【要介護認定】要介護2


訪問看護介入までの経緯

Oさんは1年ほど前から幻視や認知の波が激しくなり、転倒や薬の飲み間違いが頻発するようになりました。
日中は穏やかでも夕方以降は混乱が強まり、介護を担う長女の精神的・身体的負担が増していました。「母のために頑張りたいけど、もう限界かも…」という声をきっかけに、主治医とケアマネジャーの勧めで訪問看護を導入。介護を“1人で抱えない”支援体制が始まりました。

看護師からのアセスメント

初回訪問では、ご本人は比較的穏やかな様子でしたが、会話中に幻視の訴えや場面の混乱が度々見られました。生活全般を長女が一手に担っており、介護疲労や睡眠不足が深刻な状態。介護拒否や暴言がある場面もあり、「感情のコントロールが難しい」との訴えも。
ご本人の症状緩和と同時に、ご家族支援が極めて重要な介入ポイントと判断しました。

提供したケア/リハビリ

訪問では、本人に対しては服薬の観察や症状変化の記録、幻視・妄想時の共感的対応、転倒予防の環境整備を実施。ご家族に対しては“介護の正解は一つではない”という視点で、対応法や休息の取り方、デイサービスの活用方法を助言しました。
また、長女の希望で看護師による傾聴の時間を毎回設け、介護への想いを安心して話せる環境も大切にしました。

訪問看護介入の結果としてのアウトカム

介入以降ご本人の症状は大きくは変わらないものの、ご家族の心に少しゆとりができ始め、「イライラすることが減った。」と話されるように。長女は訪問看護師との定期的な情報共有によって、感情の整理ができ、対応にも自信がついてきたとのこと。訪問時以外にも、緊急時に電話相談できる体制が「精神的支えになっている」と仰っています。

介入した看護師からのコメント

「認知症の訪問看護は、ご本人だけでなくご家族のケアがとても重要です。Oさんのように感情の波がある方に対応するには、介護者の“余裕”が不可欠です。私たちは“医療者”であると同時に、“伴走者”であることを大切にしています。ご家族の笑顔が戻ること、それが何よりの成果だと感じました。」

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