在宅酸素療法(HOT)を行う方への訪問看護|酸素管理と生活支援
【お名前】Iさん(仮名)
【年 齢】79歳
【疾患名】COPD(慢性閉塞性肺疾患)
【要介護認定】要介護2
訪問看護介入までの経緯
Iさんは数年前からCOPDの診断を受けており、階段昇降や会話時の息切れが悪化し、入院を繰り返していました。医師の判断で在宅酸素療法(HOT)が導入され、自宅での生活を継続していますが、機器の管理や息切れの対応に不安があり、再入院リスクも高い状態でした。
主治医とケアマネジャーの連携により、ましろ訪問看護ステーションの介入が開始されました。
看護師からのアセスメント
初回訪問では、在宅酸素の使用に慣れてはいるものの、鼻カニューレの外れや酸素濃度設定の不安、動作時の呼吸困難が強く見られました。
ご本人は「これ以上、入院はしたくない」と話しており、生活の中で無理なく酸素療法を継続する工夫と、病状悪化の早期発見体制の構築が必要と判断しました。
提供したケア/リハビリ
療法士によるリハビリも含め週2〜3回の訪問で、酸素機器の使用状況や皮膚トラブル(チューブによる耳・鼻の傷)をチェック。
動作時の呼吸苦に対しては、呼吸理学療法(口すぼめ呼吸・運動療法)の指導や酸素流量の適切な管理支援を実施。体重・血中酸素飽和度・呼吸数の変動も継続的にモニタリングし、異常の兆しがあれば早期に主治医と連携をとりました。
訪問看護介入の結果としてのアウトカム
導入から約2ヶ月で、Iさんは酸素機器の扱いに自信を持ち、動作時の不安感も軽減。呼吸状態の変化に対しても自己観察ができるようになり、苦痛なく生活ができるようになりました。日常生活では、階段昇降や外出前の準備時間を調整し、「できることが増えた」とご本人も意欲的に。
QOL(生活の質)が向上し、在宅療養を継続することへの不安は減少しています。
介入した看護師からのコメント
「在宅酸素療法をしている方にとっては、“苦しくなるかも”という不安そのものが生活の質を下げてしまいます。石井さんが日常生活の中で少しずつ自信を取り戻していく姿に、私たちもやりがいを感じました。安全に酸素を使いながら、安心して暮らせる環境づくりを、これからも一緒に続けていきたいです。」
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