【お名前】A氏(仮名)/ 70代前半
【疾患名】2型糖尿病、アルコール症、糖尿病性末梢神経障害
【要介護認定】要介護1


20年前に糖尿病指摘されたが治療中断し、3年後に糖尿病ケトアシドーシスで入院。この時より糖尿病性神経障害は高度な状態でした。7年前より歩行時のふらつきが高度になり、精査を受けたが脳神経的には異常なく、禁酒しなければ改善しないと医師より説明され断酒補助薬の内服が開始となりました。
栄養バランスが悪いため低カリウム血症を認めることが多く、神経障害高度のため足潰瘍や褥瘡ができやすい状態でした。また、HbA1c7.4%と上昇し、インスリン投与は継続しており、食事せず出かけた際に低血糖を起こしたりなど、継続的な介入が必要となっています。

アセスメント

① 服薬管理と精神面の影響

精神面の落ち込みや気がかりが服薬に影響しやすく、飲み忘れにつながる可能性がある。そのため、自立性を促しながら支援を行うことが重要。

② 精神的負担への配慮

できないことを指導されることで精神的負担が増し、受け入れ難くなる可能性がある。そのため、支援方法には配慮が必要。

③ 健康状態の改善と維持

介入当初はアルコール中毒による飲酒が続いていたが、定期的な通院や訪問による内服管理により禁酒を継続できている。また、血糖値はインスリン自己注射が可能であり、検査データも悪化なく経過している。

提供したケア/リハビリ

● インスリン実施や低血糖症状がないか確認
● 皮膚の観察、フットケア
● 服薬カレンダーと飲み忘れ有無の確認 ※お薬セットは薬局にて対応
● 食事内容の確認

アウトカム

当初は週1回の訪問だったが、状態が安定してきたことを受け、自主性を促すためも月2回の訪問への減回に成功。
断酒補助薬の内服はできており、禁酒の継続に成功している。インスリンは自己管理ができており、検査データの悪化も見られていない。

ご利用者からのコメント

ご本人
「いつも話を聞いてもらっています。本当は毎週でも来てもらいたいんだけどね(苦笑)。」

訪問看護師からのコメント

今年に入り奥様や大事な猫が亡くなり、寂しさで気を落とされていましたが、最近は少しずつ気持ちを取り戻されています。
入浴や足のケアが難しい期間が続いたので皮膚状態にも注視しつつ、できるだけお話を傾聴しお気持ちに寄り添っていきたいと思います。

■ 名前:山田(ヤマダ)
■ 資格:看護師 / 認知症サポーター
■ 臨床経験
県内病院の消化器内科に勤務後、クリニック、認知症専門デイケア、デイサービスと様々な職場で経験を積みました。
現在は、ご利用者やご家族とお話をすることを楽しみながら訪問看護師をしています。

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