小児訪問看護の現場から|吸引・栄養チューブ管理・ご家族のサポート
【お名前】Yちゃん(仮名)
【年 齢】3歳
【疾患名】脳室周囲白質軟化症(PVL)、誤嚥性肺炎の既往
【要介護認定】小児医療的ケア児(在宅酸素・経管栄養管理)
訪問看護介入までの経緯
Yちゃんは未熟児で出生し、脳室周囲白質軟化症により運動発達の遅れと嚥下障害を抱えています。入退院を繰り返す中、誤嚥による肺炎を契機に経鼻栄養と在宅酸素が導入されました。
在宅における母親の育児・医療的ケアをサポートするため、主治医の指示のもとましろ訪問看護ステーションの介入が決定し、医療支援と育児支援を同時に行う体制が始まりました。
看護師からのアセスメント
訪問初回、Yちゃんは在宅酸素を装着しながらベッド上で静かに過ごしており、顔色や活気には問題がないものの、痰が絡みやすく吸引が頻回に必要な状況でした。母親は吸引や経管栄養の手技には慣れていましたが、「ちゃんとできてるか不安」「いつまた肺炎になるか怖い」と話していました。
適切な手技の確認と、異常を早期に発見できる体制を整えることが急務と判断しました。
提供したケア/リハビリ
週2〜3回の訪問で吸引の適切なタイミングや方法の再確認、経管栄養中の誤嚥防止体位の調整、皮膚状態の観察を行いました。ご家族にはケアや手技のフィードバックや緊急時対応マニュアルを共有し、“できていること”を積極的に肯定する声かけを重視。
理学療法士とも連携し、感覚刺激を入れる遊びも含めながら呼吸リハや拘縮予防のストレッチを行いました。
訪問看護介入の結果としてのアウトカム
Yちゃんの呼吸状態は安定し、入院頻度が減少。経管栄養の手技にも母親が自信を持って対応できるようになり、夜間の不安が軽減されました。以前は「何かあったらどうしよう」と話していた母親が、「今は落ち着いて対処できる」と言えるまでに変化。
母の気持ちに寄り添いつつ適切な手技、知識を伝えていく支援が、在宅生活の安定に直結しています。
介入した看護師からのコメント
「小児の訪問看護では、“お子さんの安全”と“ご両親の安心”を両輪で支えることが何より大切です。Yちゃんの成長に関わらせてもらえること、そして“母としての喜び”を取り戻していくお母様の姿に、私たちも力をもらっています。これからも、医療ケアと生活支援の両立を目指して支えていきます。」
※本記事でご紹介しているケースは、過去に寄せられたご相談をもとに、個人情報に配慮し一部内容を改変のうえ掲載しています。
※本サイトの文章、画像の全部または一部を、事前の許可なく複製、転用、改変、配布、公衆送信、転載等することはご遠慮ください。