多発性硬化症(MS)患者への訪問看護支援|疲労・麻痺・日常生活支援
【お名前】Nさん(仮名)
【年 齢】39歳
【疾患名】多発性硬化症(MS)
訪問看護介入までの経緯
Nさんは20代で多発性硬化症と診断され、寛解と再発を繰り返していました。最近は疲労感が強く、左上下肢に軽度の麻痺が出現。日常生活の中で転倒や入浴時の不安が増し、在宅療養に支援が必要と感じるようになりました。主治医と相談のうえ、ましろ訪問看護ステーションが介入し、病状の安定と生活の質の維持を目的に支援を開始しました。
看護師からのアセスメント
初回訪問では、ご本人は落ち着いた様子でしたが、日常生活での「ちょっとした動作」に強い疲労を感じており、特に夕方になると著しい倦怠感を訴えていました。入浴・買い物・掃除などの家事は制限が必要な状態であり、活動量と休息のバランスが重要と判断されました。ご本人は「できない自分を責めてしまう」と語っており、心のケアも必要とされました。
提供したケア/リハビリ
訪問看護では、バイタルチェック・症状観察・服薬確認を行い、疲労や麻痺の程度を定期的に記録。作業療法士と連携し、家事の簡略化・時間配分の工夫を取り入れた日常生活支援を提供しました。入浴やトイレ動作に不安がある場合は、福祉用具の導入や住宅改修も提案。ご本人の「できることを続ける」意欲を支えました。
訪問看護介入の結果としてのアウトカム
生活リズムの見直しにより、日常生活での疲労が軽減し、週に2回の買い物や趣味活動への参加が少しずつ可能に。倦怠感による気分の落ち込みも改善し、「外に出たい」「話がしたい」と前向きな姿勢が見られるようになりました。看護師とのコミュニケーションを通じて「できること」と「休むこと」のバランスを学び、自立的な生活が持続できています。
介入した看護師からのコメント
「多発性硬化症の方への支援では、“疲れ”をどうマネジメントするかが生活の鍵になります。Nさんはとても努力家で、自分を責めがちでしたが、少しずつ“自分のペース”を受け入れられるようになり、笑顔が増えたのが印象的でした。在宅生活の中でも安心して、自分らしく暮らしていけるよう、今後も寄り添い続けたいと思います。」
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