小児の重症心身障害児に対する訪問看護事例|安心の医療連携体制
【お名前】Mちゃん(仮名)
【年 齢】4歳
【疾患名】重度低酸素脳症、呼吸障害
【要介護認定】小児医療的ケア児(特定医療的ケア児)
訪問看護介入までの経緯
Mちゃんは出生直後からの重度低酸素脳症の影響で、寝たきりの生活を送っており、気管切開・胃瘻・てんかん発作の既往があるお子さんです。
退院後は母親が24時間体制で療育を担っていましたが、呼吸状態の不安定さや発作への対応に心身ともに限界を感じ、主治医主導のもと訪問看護の導入が決定、自宅でも安心して生活を送れる体制づくりが始まりました。
看護師からのアセスメント
訪問初回では、痰絡みによる呼吸状態の悪化やチアノーゼが見られることもあり、定期的なてんかん発作も確認されました。
母親はケアに慣れているものの、「一瞬たりとも気が抜けない」と極度の緊張状態が続いていました。全介助の状態に加え、栄養管理・吸引・服薬調整など多岐にわたる医療的管理が必要なため、医師・薬剤師・リハビリ職種との密な情報共有と支援計画の立案が必要と判断しました。
提供したケア/リハビリ
訪問では、吸引・気道の観察、てんかん発作時のバイタル管理、胃瘻による栄養注入、体位交換と褥瘡予防を定期的に実施。療法士と連携し、呼吸に合わせた関節可動域訓練を行い、拘縮の進行を防止しました。
医療的ケアだけでなく、母親の疲労軽減のため、短時間でも代替介助を行い、心身の休息時間の確保にも力を入れました。
訪問看護介入の結果としてのアウトカム
定期的に痰を吸引すること、また排痰ケアにより呼吸状態は安定し、てんかん発作への迅速な対応もスムーズに。母親の表情には少しずつ安心感が見られ、「何かあった時に頼れる人がいる」と実感されるようになりました。
夜間の不安が軽減されたことで睡眠時間も確保され、母親にとっての”自分の時間”も作れるようになりました。医師・保健師・PT/OTと連携し、在宅でも“医療と生活の両立”が実現できています。
介入した看護師からのコメント
「重症心身障害児の支援は、”本人の状態を安定させること”と”ご両親の暮らしを支えること”の両立が常に求められます。
Mちゃんとお母様が少しでも安心できる時間を増やすために、チームで連携しながら支援してきました。状態が安定したこと以上に、ご家族が笑顔を取り戻していく過程を見守れたことが、何より嬉しく感じています。」
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