緊急対応


【お名前】Yさん(仮名)
【年 齢】29歳
【疾患名】難治性てんかん、知的障害(中等度)
【要介護認定】障害福祉サービス利用(区分4)


訪問看護介入までの経緯

Yさんは小児期からてんかん発作を繰り返しており、現在も月に数回の発作が持続。ご家族が在宅での介護を続けていますが、「突然の発作に毎回慌ててしまう」と不安を抱えていました。かかりつけ医より訪問看護による見守りと発作時対応の強化を提案され、ましろ訪問看護ステーションが介入。安心して在宅生活を続けられる体制作りを目指して支援が始まりました。

看護師からのアセスメント

初回訪問時、直前にも短時間の焦点発作が見られており、発作後の眠気や混乱が強く、ご本人はぼんやりとした反応でした。ご家族は日々の介護に慣れてはいるものの、「いつ病院に連絡するべきか」「何を観察すればいいか分からない」と話されており、発作の種類・対応法・緊急判断を明確にした支援マニュアルの必要性が高いと判断しました。

提供したケア/リハビリ

訪問では、発作記録表(時間・症状・前兆・回復までの時間)を作成し、ご家族と共有。発作時の対応(頭部保護・経過観察・時間計測・吸引の準備など)を実際の現場を想定しながら繰り返し指導しました。緊急受診基準や座薬・頓用薬の使用条件についても主治医と連携し、具体的にマニュアル化。日中活動の工夫や生活リズム安定の支援も行い、発作頻度の低下にもつなげました。

訪問看護介入の結果としてのアウトカム

訪問看護開始からしばらくするとご家族の発作対応がスムーズになり、緊急搬送の回数がゼロに。ご本人も発作後の不安定さが軽減し、日中の活動が安定。ご家族は「慌てずに対応できるようになった」と語り、在宅療養への自信がついた様子です。発作を“怖いもの”ではなく、“対応できるもの”ととらえ直すことで、日々の生活に安心感が広がりました。

介入した看護師からのコメント

「てんかん発作は、“突然起きるから怖い”という印象を持たれがちですが、正しい観察と適切な対応ができれば、多くの場合、在宅で安全に過ごすことが可能です。ご家族が“対応できる”と感じられることは、ご本人の安定にもつながります。私たちは、その安心のベースを一緒に築いていく存在でありたいと思っています。」

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