【お名前】Nさん(仮名)
【年 齢】45歳
【疾患名】統合失調症、うつ状態(寛解と再燃を繰り返す)
【要介護認定】精神障害者保健福祉手帳2級(介護保険対象外)


訪問看護介入までの経緯

Nさんは20代で統合失調症と診断され、数度の入退院を経験。現在は自宅で療養しながら生活していますが、再燃傾向のある時期には気分の落ち込みや引きこもりが強くなり、服薬中断や日常生活の崩れが課題となっていました。主治医の紹介により、ましろ訪問看護ステーションの精神科訪問看護がスタートし、自宅療養の安定と再発予防を目的とした継続支援が始まりました。

看護師からのアセスメント

初回訪問では、対面に抵抗はないものの、受け答えが単調で気力の低下が著明。服薬は不定期で、「薬を飲んでも気持ちは変わらない」と否定的な発言が多く、自室に引きこもる生活が続いていました。日常生活リズムの乱れと、ストレスへの耐性低下が見られ、服薬・睡眠・食事といった基本的な生活支援と、傾聴を中心とした信頼関係の構築が必要と判断しました。

提供したケア/リハビリ

訪問看護では、まず“会話を続けること”を目的に、興味のある話題からゆっくりと関係を築きました。服薬確認や服薬管理表の導入、日中の軽い活動(ラジオ体操・日光浴)を提案し、生活リズムの再構築を支援。ご本人の「やってみようかな」という意欲を大切にし、小さな達成感を積み重ねるかたちで、無理のない回復をサポートしました。

訪問看護介入の結果としてのアウトカム

少しずつ服薬管理が安定し、睡眠時間も日内変動が改善傾向にあります。朝起きる習慣が戻り、「今日は少し外に出てみた」と前向きな発言も増加。生活の中に“安定した自分”を見つけつつあります。看護師とのやり取りが習慣として定着し、ご家族からも「笑顔が増えた」と好意的な声をいただいています。

介入した看護師からのコメント

「精神疾患の方には、“安心できるつながり”が生活の基盤になります。Nさんは、毎回少しずつ、言葉や表情に変化があり、“人と関わる安心感”を思い出してくださったように思います。訪問看護は、目に見える症状だけでなく、“その人の個性や気持ち”に寄り添う支援です。これからもNさんの歩みに伴走していきます。」

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