脊髄損傷患者の在宅支援と訪問看護|リハビリ・排泄ケア・生活支援
【お名前】Kさん(仮名)
【年 齢】42歳
【疾患名】脊髄損傷(胸髄レベル、完全麻痺)
訪問看護介入までの経緯
Kさんは交通事故により胸髄レベルで完全麻痺となり、車椅子での生活が必要に。退院後はご家族の支援のもと自宅療養を開始しましたが、排泄ケアや褥瘡予防、感染症リスクなど医療的管理が多岐に渡るため、訪問看護の導入が決定。ましろ訪問看護ステーションが、生活全体を支えるためのチーム支援として介入を開始しました。
看護師からのアセスメント
初回訪問時、Kさんは精神的には安定しているものの、排尿管理に対する羞恥心や、褥瘡リスクのある臀部の発赤、長時間同一姿勢による皮膚トラブルが見られました。自己導尿に挑戦中でしたが不安が強く、ご家族も日々のケアに追われ疲労が蓄積している様子。排泄ケア・スキンケア・セルフマネジメントの習得支援が必要と判断しました。
提供したケア/リハビリ
排尿は清潔間欠導尿の支援と手技指導を行い、回数や時間の記録を習慣化。臀部や仙骨部の褥瘡予防のため、体位変換の補助・クッションの見直し・皮膚保湿を実施。理学療法士と連携し、車椅子上での上肢強化・ベッド移乗動作の訓練も行いました。生活動作に関する福祉用具の提案や、家族への介助指導も包括的に実施しました。
訪問看護介入の結果としてのアウトカム
排尿管理が安定し、自己導尿の定着により外出への自信が回復。褥瘡リスク部位の皮膚状態も良好に保たれ、訪問前に見られていた発赤も解消されました。ご本人は「家にいるのが怖くなくなった」と話し、ご家族の介助ストレスも軽減。排泄や移動といった生活の基本が安定することで、在宅生活を送る上での安心感を得られるようになりました。
介入した看護師からのコメント
「脊髄損傷の方への支援では、“できること”を増やしていくことが自信と安心に直結します。Kさんはとても意欲的で、ご自身の変化をしっかり捉えられる方でした。ご家族も含めた生活支援を通して、“自分らしさを尊重する看護”が実践できたケースです。これからも自宅で自分らしく過ごせるよう、サポートしていきます。」
※本記事でご紹介しているケースは、過去に寄せられたご相談をもとに、個人情報に配慮し一部内容を改変のうえ掲載しています。
※本サイトの文章、画像の全部または一部を、事前の許可なく複製、転用、改変、配布、公衆送信、転載等することはご遠慮ください。