ALS(筋萎縮性側索硬化症)と訪問看護|呼吸ケアや生活支援について
【お名前】Tさん(仮名)
【年 齢】58歳
【疾患名】ALS(筋萎縮性側索硬化症)
【要介護認定】要介護5
訪問看護介入までの経緯
Tさんは数年前にALSと診断され、徐々に四肢の筋力低下や発声困難が進行。現在は在宅にて人工呼吸器を使用しており、会話も困難な状態。奥様が主介護者ですが、24時間介護への負担が大きく、医療処置にも不安を抱えていました。地域の在宅医、ケアマネージャーとの連携のもと、ましろ訪問看護ステーションの定期訪問が始まり、安全性の確保と介護負担の軽減を目的に支援を開始しました。
看護師からのアセスメント
初回訪問では、経管栄養・排痰ケア・呼吸器トラブル対応の確認を行いました。表情や視線によるわずかな反応が見られ、少しでもご本人の意志を尊重できるようコミュニケーションに工夫が必要でした。。長時間の同一体位により褥瘡リスクも高く、奥様の疲労も蓄積していました。ご本人の「できる限り自宅で過ごしたい」という強い希望に寄り添いながら、医療と生活支援の両輪で関わる必要性を再認識しました。
提供したケア/リハビリ
1日1回の訪問に加え、急変時は24時間対応体制を整備。呼吸器や吸引器の管理、カフ圧チェック、定期的な体位変換と褥瘡予防ケアを実施。ご家族には機器トラブル対応や吸引技術の習得支援も行いました。療法士と連携し、視線入力による意思伝達機器の活用もサポート。ご本人が「意思表示ができる」環境を整えることに力を入れました。
訪問看護介入の結果としてのアウトカム
介入後少しずつ、ご家族の精神的負担が軽減され、安心して介護に向き合えるようになりました。ご本人は表情での反応が豊かになり、視線入力装置を用いて「ありがとう」と伝えられるようになりました。医療機器の安定運用により、ご家族による介護での在宅療養を継続することができています。ご家族も「少しでも長く一緒にいられるように頑張りたい」と話されています。
介入した看護師からのコメント
「ALSのケアは、医療処置と心のケアの両面が非常に重要です。Tさんは表情一つで多くのことを伝えてくださる方で、私たちも関わるたびに学びがあります。ご家族の努力と愛情が本当に深く、それに応える形で訪問看護の役割を果たせていると実感しています。これからも在宅で安心して暮らしていただけるよう、チーム一丸で支えていきたいです。」
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