褥瘡(床ずれ)ケアと訪問看護の実際|予防と処置のポイント
【お名前】Aさん(仮名)
【年 齢】89歳
【疾患名】脳梗塞後遺症による寝たきり
【要介護認定】要介護5
訪問看護介入までの経緯
Aさんは脳梗塞後の後遺症により寝たきりの状態が続き、自宅療養中に仙骨部に褥瘡が発生。主治医の指示のもとましろ訪問看護ステーションが介入し、褥瘡の処置と、今後の再発予防を目的とした訪問看護支援がスタートしました。
看護師からのアセスメント
初回訪問時、褥瘡は仙骨部に直径2cm程度の潰瘍があり、周囲発赤と滲出液の増加が確認されました。体位変換の頻度やポジショニングに課題があり、マットレスも通常のものを使用していたため、除圧の工夫が不十分でした。
ご家族は「姿勢や皮膚の状態は気にしたことがない。どうしたらいいかわからない。」と不安を語られ、日常的な予防・観察・処置の一体的支援が必要と判断しました。
提供したケア/リハビリ
訪問時には褥瘡の状態を確認し、医師の指示に基づいて滅菌ガーゼや創傷被覆材を用いた処置を実施。体圧分散マットレスの導入を提案し、家族と協議のうえ環境整備を行いました。体位変換の間隔や姿勢のポイントも具体的に助言し、理学療法士とも連携しながらケアの継続性を確保。
また、皮膚の保湿・栄養状態の管理・水分摂取への配慮も強化しました。
訪問看護介入の結果としてのアウトカム
褥瘡は2週間ほどで滲出液が減少し、3週間後には上皮化が進行。ご家族は処置の方法を習得し、日常的な観察も少しずつできるようになりました。再発予防の体制も整い、「早めに気づいて対応できるようになった」との声も。
ご本人の表情も穏やかになり、苦痛が軽減された様子が見られました。
介入した看護師からのコメント
「褥瘡ケアは“処置”だけでなく、“予防”がとても重要です。Aさんのご家族はとても熱心で、体位変換や保湿など、日々の積み重ねに真剣に取り組まれていました。その努力があって、褥瘡の改善にもつながったと思います。在宅療養でも、正しい知識と支援体制があれば、安心してケアを継続できることを実感できたケースでした。」
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