慢性腎不全(保存期)と訪問看護での生活支援|浮腫・食事・服薬管理
【お名前】Oさん(仮名)
【年 齢】76歳
【疾患名】慢性腎不全、糖尿病合併
【要介護認定】要介護2
訪問看護介入までの経緯
Oさんは糖尿病性腎症により慢性腎不全と診断され、透析導入前の段階で管理を行っていました。自覚症状が少ないため病状の進行に気づきにくく、むくみや倦怠感が強くなっても対応が後回しになってしまっていました。主治医から「生活習慣のサポートが必要」と訪問看護を提案され、ましろ訪問看護ステーションの介入が始まりました。
看護師からのアセスメント
初回訪問では、両下肢の浮腫が強く、靴が履けないほどの腫れが確認されました。水分制限や塩分制限の理解が曖昧で、服薬の飲み忘れも週に数回発生。体重や血圧の変化に対する危機意識が低く、「調子が悪くても寝てれば治る」といった反応が見られました。症状と病状の関連性を理解できるよう、丁寧な説明と生活習慣の再構築が必要と判断しました。
提供したケア/リハビリ
訪問では、体重測定・血圧チェック・下肢浮腫の評価を行い、食事・水分管理のアドバイスを段階的に実施。医療機関の管理栄養士と連携し、塩分制限メニューや市販食品の選び方を指導しました。服薬カレンダーと声かけにより薬の飲み忘れを防止し、水分摂取・排尿・浮腫の変化を記録できる簡易シートも導入。運動習慣として、下肢の軽運動も生活に取り入れました。
訪問看護介入の結果としてのアウトカム
下肢の浮腫が徐々に軽減し、体重の変動は解消していきました。血圧もコントロールされ、倦怠感はいくらか改善。ご本人もバイタルサインやその日の体調を記録する習慣も定着。食事内容にも関心を持つようになり、ご家族と一緒に減塩レシピを楽しむ時間も増えました。透析導入を遅らせることを目指した、主体的な健康管理ができるようになってきています。
介入した看護師からのコメント
「透析前の腎不全への対応は、体感しにくい“ゆるやかな進行”への意識づけがとても大切です。Oさんは、ご自身の体調と向き合うことを通じて、“自分で守る”健康管理に前向きになられました。私たちは、病気の先にある“生活”を支える存在であり続けたいと思っています。」
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