在宅での吸引管理と訪問看護の対応|安全な気管ケアと家族サポート
【お名前】Mさん(仮名)
【年 齢】66歳
【疾患名】筋萎縮性側索硬化症(ALS)
【要介護認定】要介護5
訪問看護介入までの経緯
MさんはALSにより徐々に呼吸筋の低下が進み、気管切開および吸引管理が必要な状態に。病院退院後、自宅での療養を希望されましたが、奥様は吸引機器の使用やトラブル対応に強い不安を抱えていました。医師の紹介で、ましろ訪問看護ステーションが介入することになり、24時間対応可能な支援体制のもと、吸引ケアの安全な在宅管理支援がスタートしました。
看護師からのアセスメント
訪問初回時、気管部の発赤やカニューレ周囲の乾燥が見られ、吸引の頻度が高く、夜間の管理にも苦慮している状況でした。奥様は「音がするだけで焦ってしまう」と話し、吸引の手技にも自信が持てていない様子。ご本人の状態維持のため肺炎予防、ご家族の精神的・技術的支援が不可欠であり、継続的な観察と安心してケアできる環境構築が求められました。
提供したケア/リハビリ
訪問時は、吸引のタイミング・深さ・時間・圧力の確認を行い、カニューレ部のスキンケア(保湿・ガーゼ交換・発赤のモニタリング)を変化を追いながら実施。奥様には吸引機器の管理方法、緊急時の対応手順を繰り返し指導しました。異変時の対応も奥様に共有し、夜間に異変があった場合はすぐに連絡をいただくよう整備しました。発声代替手段(視線入力)についても療法士と連携し、コミュニケーション支援を進めました。
訪問看護介入の結果としてのアウトカム
吸引の頻度や方法が安定し、気管周囲の皮膚トラブルも起こさず経過。奥様は手技に自信がつき、「今は落ち着いて対応できるようになった」と話されています。ご本人も吸引時の痛みが減ったのか、苦痛の表情をされることが大幅に減りました。吸引管理が“家族でできる日常のケア”として定着し、在宅療養が安定、夜間の緊急電話も徐々に減っていきました。
介入した看護師からのコメント
「吸引ケアは“技術”だけでなく、“安心して続けられる仕組み”がとても大切です。Mさんご夫妻はとても丁寧にケアを学んでくださり、“吸引が苦痛ではなくなった”と実感されるまでになりました。私たち訪問看護は、家族がケアを“怖がらない”よう支えることも大切な役割だと再確認しました。」
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