在宅輸液(IVH)管理と訪問看護の対応|中心静脈ポートとトラブル予防
【お名前】Hさん(仮名)
【年 齢】66歳
【疾患名】消化管がん術後、短腸症候群による在宅中心静脈栄養(IVH)管理中
【要介護認定】要介護2
訪問看護介入までの経緯
Hさんは消化管がんの手術後、短腸症候群により経口摂取が困難となり、在宅での中心静脈栄養(IVH)による栄養管理が必要になりました。ご本人は自宅療養を強く希望していましたが、ご家族は「感染やトラブルが怖い」と不安を抱えており、主治医の提案でましろ訪問看護ステーションが介入。安全な管理体制と精神的な支援の両立を目指して支援が開始されました。
看護師からのアセスメント
初回訪問時、中心静脈ポートの穿刺部に異常はなかったものの、ご本人は体調変化に対する不安が強く、「何かあったらどうしよう」と常に気を張っている様子でした。ご家族も点滴の準備やトラブル時の対応について具体的な知識が乏しく、不安が大きい状況。感染予防を最優先にしつつ、ご本人・ご家族の安心を支えるケア体制づくりが必要と判断しました。
提供したケア/リハビリ
訪問では、ポート穿刺部の観察・消毒・固定確認、輸液ルートの接続・交換・フラッシュ作業を実施。ご家族には、無菌操作・トラブルサイン(発熱・発赤・浮腫)の見分け方を段階的に指導しました。また栄養指導や水分バランスの管理についても指導。ポンプや器具の扱いに慣れるまで、使用マニュアルと緊急連絡体制を整備し、安心できる仕組みを整えました。
訪問看護介入の結果としてのアウトカム
感染症やライン抜去などのトラブルは一度も発生せず、ご本人も「自宅で安心して過ごせるのが嬉しい」と笑顔を見せるように。ご家族も操作に慣れ、「家でここまでできるとは思わなかった」と驚きと安心を語っています。看護師の定期的なサポートにより、自宅でも専門性の高い医療的ケアを“日常生活の一部”として安全に定着させられています。
介入した看護師からのコメント
「IVH管理は感染リスクとの闘いでもありますが、“怖いからできない”のではなく、“知識があれば自宅でも安全にできる”ということを、Hさんとご家族が体現してくださいました。私たちは、医療技術だけでなく、安心感や“生活のリズム”としてのケアを提供することが大切だと改めて感じました。」
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