【お名前】Mさん(仮名)
【年 齢】58歳
【疾患名】双極性障害Ⅱ型、糖尿病、高血圧症
【要介護認定】精神障害者保健福祉手帳2級


訪問看護介入までの経緯

Mさんは双極性障害を長年抱えながらも働いていましたが、最近は気分の波に加えて体調不良が重なり、糖尿病と高血圧の管理が困難に。自己管理が崩れ入退院を繰り返すようになり、「一人で生活していくのが不安」と訪問看護を希望されました。主治医・精神科医との連携のもと、ましろ訪問看護ステーションが心身両面の支援を目的に介入を開始しました。

看護師からのアセスメント

初回訪問時、会話は明るいものの内容が断片的で、気分の浮き沈みが激しい様子。食事は不規則で、血糖コントロールは不安定、服薬も気分により自己調整しているとのことでした。身体状態の悪化と精神状態の波が相互に影響し合っており、「頑張らないと」と過剰に自分を追い詰める傾向がありました。全人的な視点での継続支援が不可欠と判断しました。

提供したケア/リハビリ

訪問では、血圧・血糖の定期チェック、服薬確認、食事と運動のバランス支援を行いつつ、精神状態の観察も重視。感情の波に応じて傾聴を中心とした関わりを持ち、体調が安定しているときに生活改善の行動計画を一緒に立てました。また、気分障害の再燃を防ぐため、疲労・睡眠・食欲などの兆候を早期に察知できるよう記録表を導入しました。

訪問看護介入の結果としてのアウトカム

訪問開始から数か月後、血糖・血圧ともに安定し、外来通院も継続できるように。ご本人は「最近は自分の体を客観的に見られるようになってきた」と話すようになりました。気分の浮き沈みにも波が小さくなり、日常の小さな成功体験が自己肯定感の向上につながることで、不安で生活が落ち着かなくなることが減少しました。

介入した看護師からのコメント

「心と体の両方に不安がある方は、“両方に理解のある関わり”が必要です。Mさんはとても努力家で、そのぶん疲弊しやすい面もありました。私たちは“生活全体のバランス”を一緒に見直しながら、無理なく続けられるケアを心がけてきました。訪問看護ならではの、“包括的支援”の力を実感したケースでした。」

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