誤嚥性肺炎の予防と訪問看護の連携|口腔ケアと食事指導の実際
【お名前】Tさん(仮名)
【年 齢】87歳
【疾患名】脳梗塞後遺症(軽度嚥下障害)、COPD併発
【要介護認定】要介護3
訪問看護介入までの経緯
Tさんは脳梗塞後の後遺症で軽度の嚥下障害と咳反射の低下があり、食後の咳込みや微熱が頻発していました。主治医から「誤嚥性肺炎のリスクが高い」と指摘され、ご家族も「食事のたびにひやひやしている」と不安を抱えていました。誤嚥の予防と適切な口腔・栄養管理を目的に、ましろ訪問看護ステーションが介入を開始しました。
看護師からのアセスメント
初回訪問時、食事中にむせ込む様子が何度か見られ、飲み込みのタイミングに遅れがありました。また、咀嚼力の低下と口腔内の乾燥が著しく、歯の汚れや舌苔も付着していました。水分補給の不足や姿勢の乱れが誤嚥リスクを高めていると判断。誤嚥予防には「食事」「姿勢」「口腔環境」の多面的な支援が必要と考えました。
提供したケア/リハビリ
訪問時には、訪問歯科の医師、歯科衛生士と連携し口腔ケア(ブラッシング・粘膜清拭・保湿)の実施、また食前の嚥下体操を取り入れました。食事中は椅子を使った正しい座位保持を指導し、ご家族にはペースト食の工夫や水分のとろみ付けを提案。リハビリスタッフと連携し、飲み込みや呼吸タイミングを考慮した摂取トレーニングも定期的に導入しました。
訪問看護介入の結果としてのアウトカム
介入後、食事中の咳込みが減り、発熱を伴うエピソードはゼロになりました。栄養補助食品や食べやすい食品の提案もあり、栄養状態も改善。口腔内の衛生状態も良好に保たれ、ご家族は「安心して食事を楽しませてあげられる」と語っています。定期的な口腔ケアと多職種連携によるアプローチが、誤嚥性肺炎の確実な予防につながっていると思われます。
介入した看護師からのコメント
「誤嚥性肺炎は、“ちょっとした違和感”の積み重ねで起きることが多いです。Tさんの場合、食事姿勢・口腔環境・ご家族の関わり方、どれも丁寧に整えられたことでリスクをしっかり減らせました。“食べることが楽しくなった”という言葉が本当に嬉しく、今後もこの安心を支えていきたいと思います。」
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