事例紹介 -Case study-
【お名前】M氏(仮名)/ 70歳
【疾患名】多発性筋炎性間質性肺炎
【要介護認定】要介護1
突然の発熱と咽頭痛、激しい咳嗽が起こり、呼吸苦もあったため救急搬送。
多発筋炎・急性間質性肺炎の診断で重篤症状あったため即入院、ステロイド投与し免疫抑制療法を医療機関にて実施。
入院中酸素オキシマイザーを導入し酸素3.0ℓ投与し治療を続ける。状態が安定したため退院調整、在宅での呼吸器管理とADL向上のため訪問看護・リハビリが導入となる。
退院直後は労作時の呼吸苦や筋力・体力低下により、入浴や家事に介助が必要であった。


アセスメント
① 感染予防
肺炎でステロイド服用中のため、ウィルス感染対策を徹底した上での介入が必要である。
② 生活動作の中での呼吸状態や酸素飽和度の変動
どのような動作でどれほど呼吸状態が変化し、どれくらいの時間で回復するのかの経過を追う必要がある。
③ 呼吸器やチューブの管理
呼吸器の装着や管理を本人、家族が徹底できるかの確認と教育が必要と思われる。
④ 緊急時の予測・対応
急変や災害時の呼吸器管理方法を検討しておく必要がある。
⑤ 転倒予防
筋力低下あり、能力面や環境面でのリスクを把握し予防、対処していく必要がある。
提供したケア/リハビリ
● 訪問時の状態だけでなく日頃の動作、症状、数値を確認。
● 不安の傾聴と困りごとへの対処法を一緒に実践する形で指導。また次回訪問時に生活の中で遂行できたかの確認。
● ご家族含め呼吸器管理方法の指導と、緊急時の対応方法の教育
● 呼吸状態管理の上、身体機能、能力を底上げするための運動を指導
→筋力トレーニングや歩行練習、自宅内で安全に行える体操の指導等
● ADL(入浴、移動、階段等)の練習と確認
アウトカム
介入後徐々に労作時の呼吸苦と酸素飽和度低下が改善、階段昇降以外の日常生活動作で息切れを起こすことが減る。
近くのスーパーまで一人で買い物に行くことができた。
呼吸器装着の上で一人での入浴が可能に。臥床傾向だったが、調理以外の食事の準備や洗濯、掃除、植木の水やりなど、しているADLが大幅に改善。
気持ちも前向きになり、外出や趣味への時間をより増やしたいという意欲、目標ができてきている。

ご利用者からのコメント
ご本人
「動作時や歩くとき、階段昇降等で、呼吸の仕方を教わったのが良かった。運動のアドバイスをもらえるので、週に一度のリハビリが楽しみ。声をかけてもらいながら練習して、次の目標ができるのが楽しみ。」
リハビリ管理者からのコメント
退院直後は少し歩けば息が切れて動けなくなるなど、ベッド上での時間が生活の中でほとんどでしたが、ご主人の協力もあり、趣味の植木や家事がお一人でできるようになるまで回復したのは僕も驚きでした。
あれがやりたい、こうなりたいと具体的に目標を持って、リハビリ以外の時間も自主トレや活動を続けてきたという努力の賜物だと感じ、僕らもたくさん勇気と元気をいただきました。

■ 名前:糸魚川(イトイガワ)
■ 資格:理学療法士
■ 臨床経験
大学病院にて幅広い分野のリハビリを経験後、訪問看護・通所リハビリにて在宅に携わってきました。地域に暮らす方々が「明日、今日よりもちょこっと楽しく」なれるようなリハビリを探していきたいと思います。
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